レポート:フィールドスタッフ テル岡本


深海研究所実釣編の第4回のお題は昨年12月上旬の三重県伊勢志摩御座港「智栄丸」で実施した遠征釣行。初日はアラとアカムツをトップターゲットに据えた中深場、2日目は同宿ディープの看板ターゲット・鬼カサゴに挑むもハードな潮況と体調不良のダブルパンチに見舞われ大苦戦。予想外の厳しい結果となったが…その後同宿の鬼カサゴ釣況は順調に推移。志摩沖本来の数・型共出ている事、年間通じて狙えるターゲットである事を踏まえて最も海況が安定するこの時期に「引き続き有望な釣物&釣場」として紹介させて頂く次第。

【智栄丸 鬼カサゴ釣り概要】
優美で複雑な地形のリアス海岸が続く伊勢志摩国立公園の海エリア、志摩半島の最先端部に位置する御座港から航程1時間弱、志摩沖の水深100~180mに広がる岩礁底はオニカサゴのパラダイス。
潮具合が良ければ1時間流しっ放し、ダブルは勿論、3本鈎仕掛にトリプルもさして珍しくなく、釣果は一人で20尾以上…どれを取っても関東周辺とはレベルの異なる「鬼口密度」の濃さに驚かされる。
また同ポイントで様々なゲスト、エキストラが姿を見せるのも大きな魅力。過去2回の釣行ではフサカサゴ、ウッカリカサゴ、最も数が多いアヤメカサゴ、ヒオドシなどカサゴ類を筆頭にホウボウやチカメキントキ、ヒメダイ、アカイサキ、珍魚ホンフサアンコウ、タコetc…と百花繚乱。他にもアマダイ、キダイ、ハチビキ、キツネダイ、エビスダイ、原稿執筆時には65㎝マハタの報告もあり、高級魚五目の様相も呈する。





「棚は仕掛分上げて」智栄丸推奨のオニカサゴ釣法
オニカサゴ釣法は海底地形や地域、船長により異なる指示が出るケースも珍しくない。100%それでなければ釣れない訳ではないが、やはり郷に入らば郷に従え、が釣果への最短コース。ここでは「智栄丸」小川船長お勧めの釣法を紹介。
1.オモリ着底後は素早く仕掛け分を巻き上げる。
2.誘いは上から下。竿を立てた状態から棚取りの位置に降ろす、の繰り返し。
3.オモリが底を叩いたら素早く仕掛け分を巻き上げる。
4.棚の取り直しは10m程巻き上げてから行う。
5.手持ちの誘いが断然有利。
6.アタリが有ったら竿をリフトし、しっかりとハリに掛ける。
以上が鬼を食わせるまでの大まかな流れ。
智栄丸は船宿HPで志摩沖鬼カサゴ釣りを画像入りで丁寧に解説しているので、釣行前にはそちらも是非チェックして欲しい。
【志摩沖鬼カサゴタックル】

ロッドは専用、若しくは中深場対応先調子気味の2m前後。錘負荷150~200号程度。リールは電動リール3000or500番リールにPE4号をフルキャパシティ。仕掛は片天2(~3)本鈎のハリス6号。鈎は藤井商会「フジッシャーフカセネムリ15号、又はKINRYU柄長鈎15号(漁業鈎)+ヤマシタ「パニックベイト オニカサゴS2号」にニッコー化成「激臭匂い玉7φ」のコンビネーション。チモト周辺にバケorタコベイトカラーとリンクするヤマシタ「マシュマロボールL」を配す。


【24年12月5~6日の釣行より】
5日 中深場五目

前回釣行では2日間鬼カサゴを攻めたが、今回は初日水深250~300mラインの中深場五目、2日目鬼カサゴの2本立て。直近の中深場出船ではグッドサイズのアラが複数上がり、こちらも期待は充分。
8時半、250mでスタート。当日は海況、自身の体調(目眩・頭痛)共に今ひとつの厳しい状況に加え、いきなり電動リールがモーター不良のアクシデントに見舞われ、一投目から戦意喪失。
船中35㎝前後のムツやユメカサゴがポツポツと喰い続くが、正直釣況は今ひとつ。小川船長も「今日のムツは型が小振り」と顔をしかめる。
ムツとユメカサゴ各4尾で迎えた13時、スマッシュヒットがHBアカムツ235を襲う。スワ、大本命と一瞬目眩が吹き飛んだが…まさかの鈎掛りせず。これでテンションも体調も急降下し実質リタイア。直後に舳先の磯氏が船中唯一のアラを仕留めて何とか形にしてくれる。

この流し、飯島氏がメダイらしきをバラし、ラストはややサイズアップのムツ。連戦初日は惜しくも低空飛行のまま納竿の声を聞く。
6日 鬼カサゴ
二日目はメインの鬼カサゴ。前述の通り「手持ちで誘い続ける」が智栄丸お勧めのスタイルだが、先ずは自身の体調等諸々考慮して「仕掛全長1,8m(ここが重要)で置き竿、ウネリの上下動で錘が常に海底をトントンと叩く状態をキープ」をセレクト。前アタリを見逃さぬように竿先を注視し僅かでも違和感が有れば即座にロッドを手に取り、深呼吸の速さで竿先をゆっくり「聞く」イメージで深呼吸のスピードでリフトアップ、本アタリに繋げる「省エネタイプ」のディープマスターベーシック。「省エネ」とは言うものの根掛りを回避すべくウネリのピッチに合わせた棚設定と頻繁な底の取り直し、一刻も竿先から目を逸らさず、あらゆる情報を見逃さない集中力は必須。その意味では全く手抜きでも楽チンでも無いが。
7時15分、水深150mでスタート。イイ感じに潮が効き、小振りながら一投目に本命キャッチ、2流し目にはキープサイズ0,8kgの2連発。早々に土産を確保し一安心。


3流し目には「目の覚める様なアタリ」にスワ大鬼!?と期待したが、海面に現れたのは35㎝アカイサキとウッカリカサゴのダブルで微苦笑。テンポの良い釣りに前回釣行時並みの数釣りも夢ではない、と思えたが。

直後、それまで素直だった潮方が一転しあらぬ方向にラインが走りだす。小川船長が渾身の操船で対応するも、かなり釣り難い状況に。時を同じく今朝は何とか治まっていた目眩・頭痛が発症し一気にトーンダウン。
10時半過ぎ、鬼カサゴ初体験の飯島氏が船中最大含むダブル、磯氏もやや小振りながらダブルを披露し気を吐く。直後、こちらも今日イチのアタリを捉えたが…1kgチョイのウッカリカサゴで残念!

チャンスタイムと思われたが、この後潮が更に早くなり左右舷のオマツリ頻発する事態に。
自身の目眩も一際強まり、仕掛操作が疎かになると根掛りが多発し満足な釣りにならず。終盤はセミリタイア状態となり12時半、納竿の合図を聞く。
自身の体調に起因する部分が少なからず、でピリッとしない2日間となった今回の伊勢志摩遠征だが、釣行後も(潮次第ながら)鬼カサゴは順調な釣れっ振りをキープ。トップ十数尾の報告も少なくない。
釣期はほぼ周年ゆえ、自身の体調を踏まえ、気候の良い時期に是非再挑戦したい志摩沖の鬼カサゴだ。
【ディープマスターのワンポイント】
鈎は細軸軽量、バケカラーは鉄板3色で

志摩沖に限らず全てのオニカサゴ釣場で本命のアプローチを最優先するならフジッシャー毛鈎フカセネムリ15号の様な身餌の泳ぎをよりナチュラルに演出する「小振りで軽量の細軸バリ」が大正解。
(但し千葉県勝浦沖、静岡県石花海など、大アラが高確率で混在するポイントでは鬼カサゴの食いを極力落とさず、ビッグボーナスを高確率で手中に収めるべく藤井商会の「改造延縄真鯛12号」とKINRYUの漁業用「柄長鈎15号」の選択を奨めるが。)
根掛りした際も鈎が折れる事でスムーズかつ最小限のロスで仕掛回収が出来るのもポイントだ。
バケカラーは青紫、橙、濃緑の鉄板3色を持参すれば殆どの場合対応可能だが、時に白(蛍光紫)、黒、茶などのイレギュラーなカラーが効果を発揮する場合も有る。故に出来る限り各色持参し、状況に応じたフレックスな対応が望ましい。
付け餌はサバ短冊が基本で疑似餌もOK

サバ短冊は筆者鬼カサゴ釣りのベーシックベイト。3枚に下して身肉を削ぎ、表皮+3mm程度のペラペラ状態に。これに塩少々とタップリの旨味調味料を塗して2~3日冷蔵、味付け&余分な水分を絞り冷凍ストック、釣行時に幅1,5cm・長さ15~18㎝程度の大振り短冊にカットする。入手できればソウダガツオも効果大。このサイズはアピールと同時に小型の鈎掛りを幾何かでも回避したい(リリースサイズの鈎掛りを完全に避ける事は不可能だが)意図も併せ持つ設定だ。
潮況にもよるが魚影が抜群に濃い志摩沖では当然ながらエサの消費量も多くなる。初釣行時は2日分のつもりで持参したサバ短冊が1日で底を突きかけ帰港後スーパーに走りサバを購入、急遽ホテルで身餌を仕込む羽目に。こんな事にならぬ様、付け餌は充分に持参したい。
またニッコー化成「ロールイカタン」などのワーム類も実績あり。ゲーム性のアップと身餌の節約!?を兼ねて使ってみるのも一興だ。

【ディープマスタータックルデータ 志摩沖 鬼カサゴ】
ロッド:アルファタックル HBオニカサゴ200 詳しくはこちら→
リール:3000番
ライン:ゴーセン ダイバーX8 4号 詳しくはこちら→ https://www.gosen-f.jp/special/diverx/
ヨリトリ器具:フジワラ 5連ボールベアリングサルカン5×5 詳しくはこちら→
http://fishing-fujiwara.com/product/5ballbearing-swivel/
天秤:ヤマシタ 船天秤K型 2,3mm50㎝ 詳しくはこちら→
https://www.yamaria.co.jp/yamashita/product/detail/47
水中灯
ルミカ 輝泡レッド 詳しくはこちら→ https://lumica-shop.com/products/kihou
鈎:KINRYU 柄長針15号(漁業用鈎)
深海バケ:藤井商会 フジッシャー毛鈎 フカセネムリ15号
集魚ギミック:ニッコー化成 激臭匂い玉7φ 詳しくはこちら→
ヤマシタ
マシュマロボールL 詳しくはこちら→
https://www.yamaria.co.jp/yamashita/product/detail/138
錘:フジワラ スカリー150号 詳しくはこちら→
http://fishing-fujiwara.com/product/scurry/
バッテリー:ハピソン リチウムイオンバッテリーYQ-105 詳しくはこちら→
https://hapyson.com/products/battery/461
【船宿紹介】


智栄丸 三重県志摩御座港
℡ 090-2345-9325
オニカサゴ乗合8時間…¥15,000 6時間…¥13,000(最初の申込者希望で決定)
第1・第3週の土日と月曜に出船。仕立は随時。
アクセスはこちら→https://zekkouchou.com/chieimaru/