8)続・美味しい魚を釣ろう
 

美味しい魚を釣ろう、と提案しましたが、どうしたら美味しい魚を手にする事が出来るのでしょう。

そんな事は簡単。「旬」の魚を釣れば良いじゃないか、と答える方が居ると思います。では、魚の「旬」とは何時でしょうか。

「旬」を辞書で引いて見ると、「一番美味しい時期」と「一番収穫が多い(イコール市場に安く出回る)時期」の二つの意味が有ります。
野菜や果物は基本的に二つが同時期と考えられますが、魚の場合は異なるケースが往々にしてあるのです。

これは日本人の食に対する「嗜好の変化」が原因です。明治以降、肉食文化が導入されるとそれまで評価されなかった脂の乗った魚が高級品として扱われるようになりました。筆頭格は「マグロの大トロ」や「メヌケ・ムツ等の深海魚」です。
「目に青葉、山ホトトギス、初鰹」「初鰹は女房を質に入れてでも・・・」は江戸時代の話で、現在はカツオといえば脂の乗った「戻りカツオ」「トロカツオ」が持て囃されます。(もちろんフグやコチ、ヒラメなど、脂と無縁の高級魚も存在しますが。)

釣人限定で言えば、電動リールを筆頭とした釣具の進歩や釣りスタイルの変化で、かつては釣れなかった(又は釣らなかった)時期に魚を手に出来るようになった事です。百数十mの深場に落ちたマダイ、真冬の根付きイサキなどです。これらの魚は釣りでの「旬」とされる「乗っ込み」時期よりも脂の乗りが優れているのです。
産卵時期になって卵や白子が膨らむと、その分身は痩せて来ます。更に産卵直後はやせ細ってしまい、「美味」とは程遠くなります。
「美味な魚」を食べる事だけを考えるのなら、本当に脂の乗った、又はコンディションに優れた「身」が望めない産卵期は避けるべきです。これは資源保護にも繋がります。

しかし、悲しいかな我々釣人の楽しみは「食」オンリーではありません。魚が釣れなければつまらない、は歴然たる事実として存在します。
多くの釣魚の「最盛期」は「産卵」を挟んだ前後であるケースが非常に多いのが実情です。最盛期を外すと釣る事自体が難しくなる魚もあります。少々身の味は落ちても「卵」や「白子」の魅力が捨て難い魚も存在します。
釣る楽しさと食の魅力、そして資源保護。相反する要素を成り立たせる「釣り方」は各自のモラルに頼るしかありません。

因みに弊社チーフテスターの岡本光央は深海釣師としても著名ですが、従来数釣りが当たり前だったこの釣りを「一尾の価値観」に転換すべく、鈎数を抑えたライトタックルの釣りを推奨、繁殖力の低い魚は極力産卵期をずらして釣行するなど、「美味な魚を食べる分だけ」に努めているのです。

 
(次号に続く)
 
この話に対する皆様の御意見を頂戴したいと思います。御意見を頂戴した後、機会を見て船釣りの将来にプラスになるような新しい企画・記事にしたいと思います。