5)MPGロッドとは
 

 「ロッドが折れる」のは素材繊維の伸率の限界を超えて切れた結果として起こる現象です。素材伸率が高いほどロッドの限界点が高く、折れにくい事になります。

MPGという素材は高弾性・高強度の特殊グラス繊維です。高弾性といっても通常のカーボン繊維よりは弾性率は低く、通常のグラスよりは高い、いわば中間の弾性を持っています。強度面はグラス・カーボンを上回り、その秘密は繊維自体の伸率(5.5%以上)にあります。
私たちはこのMPGを100%、あるいはカーボンとのコンポジットで多く使用しています。私たちが目指す理想の船竿に上記の理由から最も適していると確信しているからです。もちろんカーボンロッドより重く太くなりますが、予想を上回る大物にもその限界点が高く、安心してやり取りができ、しなやかなアクションは多くのMPGファンに満足して戴いています。

MPG以外の化学製ロッド素材として普及しているのは、カーボンファイバーとグラスファイバー(ソリッドも含む)です。

カーボンは高弾性なので硬くすることは簡単ですが、曲がりながら強度を保つことがむずかしく、硬い性質上(素材伸率1.8%程度)もろさも出てきます。
最近は低弾性のカーボンが多く船竿に使用されています。また通常のカーボンをバイアスに成型しカーボン繊維の持つ張り・硬さを抑えようとする設計思想も多用されていますが、いずれも船竿でのカーボン繊維の欠点を物語っている現状です。

グラスの場合、カーボンよりも伸率は遥かに高い(5%)物の、MPGには及びません。又、弾性も低く、魚を浮かせる「復原力」でもMPGに劣ります。
グラスソリッドも伸率は高いのですが、ムク形状なので樹脂成分が多く繊維比率が低いので、硬さを出すためにはどうしても太く重たくなります。ソリッド自身の重みでロッドが垂れ下がってしまう事もあります。船に乗って一日釣りをしていると、魚がヒットしなくてもロッドの曲がり方向にクセが付いてしまい、トップ部分が曲がってしまうほど柔らかい素材なのです。どこまでも曲がって折れにくい代わり、竿の反発力を利用して魚を引き寄せる事はむずかしく、使用していると腰が抜けるといった面も見逃せない欠点と言えます。

数年前、私たちはラインアップ最高峰の「MPGウルトラ」というブランクを完成させました。 当時は多くの船釣ファンがどこまでも曲がっていくソリッドロッドの性質を好んでソリッドに傾倒、一世を風靡した時期でしたが、私たちはソリッドのただ柔らかいだけの性質を嫌いました。 魚とのファイトを実感でき、しかも極端なロッドの曲がりにも対応できるブランクの開発をスタートしたのです。
MPG素材を大きな成型プレッシャーによって樹脂を少なく仕上げ、通常の3倍以上の超厚巻加工で、細いマンドレル(成型用芯金)に何回も何回もMPG素材を巻きつけ完成しました。もちろん100%MPG繊維で仕上げました。その分コストも高くなりましたが、従来ワンピースロッドとは一線を画する、卓越した機能と潜在能力・超フィーリングを獲得したのです。
今後はこの技術を生かし、MPGウルトラとカーボンとのコンポジットや他の素材との複合成型でコストダウンも計っていきたいと考えています。

 
(次号に続く)
 
この話に対する皆様の御意見を頂戴したいと思います。御意見を頂戴した後、機会を見て船釣りの将来にプラスになるような新しい企画・記事にしたいと思います。